ナローバンドフィルタの世界へようこそ
・はじめに
最近、大口径のドブソニアンにナローバンドフィルタを用いて散光星雲等を観望するのが流行ってきています。これを通してみた夜空は、まさに別世界。今まで及びもつかなかった星雲が目の前に現れてきます。
ごく狭い波長域のみを通して後はカットするフィルタで、以前からあった天体写真用の光害カットフィルタよりも数段上の光害カット能力を持っています。代表的なものにルミコンの
UHCフィルタ、O-IIIフィルタ、
Hβフィルタがあり、他に笠井トレーディングからも前2者は同等の製品がでているようです。
以下ご紹介するのはこのルミコン製の3種のフィルタを用いた結果です。
注: ルミコンは'02/9にいったん営業を終了しましたが、'03/4に営業を再開しました。以前のものと品質が同じかどうかは不明です。
・どのフィルタを買えば良いんでしょう? :私なら O-IIIフィルタ
散光星雲、惑星状星雲は主に、星雲線とも呼ばれるO-III線と、Hα、
β線で光っています。Hαは眼視ではほとんど見えませんが、他の2つは目の感度の高い領域にあります。O-IIIフィルタ、H
βフィルタはそれぞれの輝線を通すフィルタで、UHCフィルタはその両方を通すようになっています。したがって、光害カットの能力は前者2つの方が高く、後者は両方の輝線が見える、という特徴を持っています。
Hβフィルタは別名Horsehead Nebula フィルタとも言い、その名の通り馬頭星雲と、あとカリフォルニア星雲などごく限られた天体が対象となります。UHCフィルタでこれらの星雲を見るには空がうんと暗いところである必要があります。惑星状星雲を含むその他ほとんどの星雲はO-IIIフィルタが有効です。
6等以上見える空の暗いところではUHCフィルタ、空がやや明るいところで見るならO-IIIフィルタでしょうか。一つだけ買うなら、私なら
O-IIIフィルタをお勧めします。
・Hα 線は関係ないの?
はい。眼視では感度が低いので見え味にはほとんど関係ありません。ちなみに私のHβフィルタはH
α線の透過率が25%未満しかありません(^^;)。620nm付近は90%も透過するのにね。UHCフィルタもH
αの透過率は30%です。
・お金のある方に とっておきの技 光害カットフィルタとの2枚重ね
O-IIIフィルタやHβフィルタは赤が結構漏れています。これは星が青緑色に見えたりしないために必要なのですが、ちょっと漏れすぎで、透過光がマゼンダ色に見えます。光害が残る場所で観望を行う場合、あと一押しの光害カットのために、
トーカイ LPS-P1フィルタとの併用が、多少の効果があります。赤の光がもう少しカットされるため、この方が自然に見えます。
・O-IIIフィルタの比較
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O-IIIタイプのフィルタの比較として、ルミコンのO-IIIフィルタと笠井のスーパーO-IIIフィルタを比べてみました。
前述のようにルミコンのは星がマゼンダに見えますが、笠井のは自然な色に見えていました。また笠井のではLPS-P1フィルタによる減光の効果はあまり見られず、620nm付近はもともと透過していないようです。お値段から考えても笠井の物のほうがお得なようです。
注:干渉フィルタは個性があり、たまたま私のだけがそのような特性だったのかもしれません。
これらのフィルタは特に反射率が高いので、接眼部から光が入ると視野が明るくなって見にくくなります。また自分の目に光が当たっているだけでもゴーストなどが発生して邪魔です。近くに街灯等のないところで見るか、頭から布をかぶって見ましょう。また、淡い星雲を見るときには
そらし目は当然必要です。
また特に都会では暗さに目が慣れにくいので、バックが暗くなっていると覗いてすぐはほとんど何も見えないかもしれません。手や布などで目の回りを覆って暗さに目を慣らし、一分以上じっくり見てみましょう。
淡い星雲が対象になるので、透明度が少しでも悪いと、がっかりするような見え方になります。空の暗さ以上に透明度が大切です。めったにないぐらい遠くの山がはっきり見えるような日を待ちましょう。
もちろん空が暗いところが良いに決まっています。でもあきらめないで。星雲ガイドのページを参考にして下さい。
星雲ガイド
での観望場所は、透明度最良でも最微星4.5等以下で今まで天の川の見えたことがない池田市(池)と、透明度最良で5.5等まで見える能勢町(能)、6等までは見える兵庫県加美町(加)です。O-IIIフィルタは特に光害に強く、池田ではひとみ径3mm以下なら何とか使いものになります。32cm140倍で見るM57は、空の暗いところで20cm程度で見たぐらいの感じでしょうか。